福島第一原発の水素爆発についてのメモ
原子力安全・保安院の会見を見てもよくわからなかったので、以下を見て理解した気になってみた。
- 3/18「福島原発事故の現状について」@原子力情報資料室
- 福島第一原発で何が起きているのか
- 福島原発問題について(科学者の眼)
- MIT原子力理工学部による1、3号炉の水素爆発に関する解説
- 原発がどんなものか知ってほしい
- 福島第一原子力発電所 設備の概要
用語
設計圧力と運転時圧力について
- 原子炉圧力容器の設計圧力は約90気圧。運転時は約70気圧。
- 原子炉格納容器の設計圧力は約4〜5気圧。運転時は1気圧弱。
- 圧力抑制室の設計圧力は不明。通常は約3気圧。
圧力の単位について
報道発表資料は絶対圧とゲージ圧が混在していてよくわからない。
1号機で発生した事象の推測
フランジについて
核燃料を上から交換できるよう、圧力容器と格納容器の上部は取り外せるようになっている。
円筒形の部品(これがフランジと呼ばれている部分)を載せてネジなどで固定する。溶接されているわけではないので、設計圧力を超えればもれる可能性がある。
水素の由来について
(a)燃料棒が溶けてジルコニウムが酸化(b)水蒸気からできた(c)一次冷却水に含まれた水素が遊離
の説があるようだ。
爆発後、セシウム(沸点678℃)が検出されているため、格納容器内が非常に(すなわちセシウムが蒸発するほどの)高温であった可能性があり、(a)ではないかと思われる。
一次冷却水については水素濃度は30ppm程度のようなので、爆発するほどの量になるとは考えにくい。
圧力抑制室がドーナツ状の理由
水蒸気爆発を避けるため、圧力容器の真下を空けておくためとのこと。
建屋の上部だけ吹き飛んだ理由の推測
建屋の一番上の部分は燃料を交換するためのフラットな作業領域となっている。スパン(柱と柱の間の距離)を長く取るため、軽くする必要があり、コンクリートの厚みが最低限しかない。そのため薄い部分が吹き飛んだ。
設計の古さについて
再循環ポンプは非常に重く(10t以上)、耐震設計の弱点となっている。改良された軽水炉では、再循環ポンプがないものもある。
人災について
「素人が造る原発」は大げさな表現ではあるが、実際、異物は割とよく落ちているようだ。(福島第二原子力発電所 圧力抑制室からの異物回収状況)
想定外の地震にも耐えた原子炉のハードウェアは設計・施工とも高いレベルであると言えそうだが、津波で電気系が全滅するのは設計上の欠陥だと思った。電気が止まると水素爆発するのは(人災ではなく)構造上の必然だが、設計上の欠陥を放置したのは人災だと感じた。